旧知。
午前中に起きるつもりが、午後まで寝坊してしまって、
自己嫌悪に陥っているところに、携帯電話が鳴った。
画面を見ると、旧友の名前が写っていた。
彼女を交えて、約1時間ぐらい話す。
彼とは飲みの記憶が多い。
それも飛び抜けて多い気がする。
いつも飲んでは言い合いになって、傍から見れば喧嘩しているようだったらしい。
でも、当人たちは案外呑気なもので、次に会うときは二人ともあっけらかんとしていた。
それが、こっちとしてはずいぶん楽で、甘えさせてもらったことも一度や二度では無い。
思えば、最後の点、「ここを踏み越えると縺れるぞ」というところでは、
いつも一歩引いてもらっていたようである。
年は一つ下だが、機先を弁えた良い兄貴のようだった。
話をしていると、
どうやら女性に関しておっとりしている所は、変わっていないらしく、
今も頭はお花畑のようである。
連絡を取り合う数少ない友人の一人になってしまったが、
このまま幸せになってもらいたいと切に思う。
愚弟は、周囲が考えているよりも兄を心配しているものなのだ。