書籍

宮沢賢治 (ちくま日本文学 3)

宮沢賢治 (ちくま日本文学 3)

童話と詩で構成されていました。

宮沢賢治は、流れるような言い回しが読んでいて本当に心地いい作家だと、再認識できました。

今まで読んだことのない作品も多く、新たな感動を味わうことができました。
また読んだことのある作品では、新たな発見もあり、読み落としていた部分に気付いたりと飽きることのない一冊でした。

「気のいい火山弾」からの一節なのですが、

私の行くところは、ここのように明るい楽しいところではありません。けれども、私共は、みんな、自分でできることをしなければなりません。

という箇所があります。

来年の自分を考えると陰鬱になりがちな私にとっては、たいへん勇気をもらえる文章でした。

あと「注文の多い料理店」を読んでいて、つくづく感じたのは、人間は自分の決めたことから抜け出しにくい生き物なんだということです。
明らかにおかしい要求を受け入れ続けるええとこのぼっちゃん二人なんですけど、化かされていることに気付く直前まで、自分たちの都合のよいように環境を解釈して、自分たちを納得させてゆくんですね。
井坂幸太郎の小説に、人間は説明されたら落ち着く、というフレーズがあるんですが、それを何となく思い出してしまいました。伊坂さんの場合は、他人が説明してくれるんですが、「料理店」は自分たちでしますから、不気味加減が余計に倍増しているんですね。