新アラビア夜話

新アラビヤ夜話 (岩波文庫)

新アラビヤ夜話 (岩波文庫)

近代英文学の大作家スティーヴンソンの短編集。

3つの収録作品の中では、「若い僧侶の話」が一番面白かったです。その前に収録されている「帽子箱の話」の続きものなのですが、この二つを足して、映画にしたらおもしろそうだと思いました。無駄がないけれども広げられる場面も多いことが理由です。

「若い僧侶の話」は、まさに棚から牡丹餅で、非常に高価なダイヤを手に入れることになった僧侶が、最初は陥った事態に不安と焦燥感を感じていたけれども、段々と図太くなり最期には悪事を大人物に持ちかけて、首を縦に振らせてしまうという筋書きでした。

僧侶の態度や、転身ぶりが見事でした。また犯罪と身の丈に合わない富への対応を巡り、最終的に僧侶の人柄までも大きく反転させてしまう技術は読んでいて飽きがきませんでした。



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